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ドックフード vs 手作りご飯|犬の健康を保って病気を予防する食事とは
2025/11/13
治療方針、その他

犬の手作りご飯と聞くと、「豪華な食事」「手の込んだ食事」を想像していませんか?実は、犬の手作りご飯は家庭によくある食材で簡単に始められます。


人が質素な食事と感じても、その子が求める季節のものを手作りしてあげることが、何よりも大切です。今回は、犬の食事に関する基礎知識とあわせて、ドッグフードと手作りご飯で得られる栄養の違いについて解説します。


手作りご飯を始める際は、犬が食べてはいけないものを把握し、その子の状態を知ることが重要です。脱・ドッグフードを目指すために、無理なく始められる手作りご飯のポイントを押さえておきましょう。


ドッグフードは栄養満点?犬に欠かせない「食」の基本


普段当たり前のように与えているドッグフードですが、それだけで栄養は足りているのでしょうか?愛犬の健康維持のためにも、犬に欠かせない「食」の基本を理解しておくことが大切です。ここでは、犬に必要な栄養素とあわせて、ドッグフードと手作りご飯に含まれる栄養について解説します。


犬に必要な栄養素とその役割


犬には、5大栄養素と呼ばれる以下の5種類の栄養素が必要とされています。


・タンパク質

…筋肉、臓器、被毛、皮膚、血液、免疫細胞などを作る

・脂質

…主にエネルギー源となり、その他にも体温の調節やビタミンの運搬、吸収などにも必要となる

・炭水化物

…エネルギー源となるのに加えて、ビタミンやミネラルの摂取や腸の機能維持に必要

・ビタミン

…生命維持や成長など、健康で正常な活動をするために欠かせない栄養素で、体の機能を調整する役割もある

・ミネラル

…骨や歯の健康維持や体の機能を維持するのに必要不可欠な栄養素


どれか一つを過剰摂取すると、肥満や病気の原因となる恐れがあるため、バランスよく摂取することが重要です。


ドッグフードに入っている栄養


ほとんどのドッグフードには、パッケージの裏に原材料や添加物の種類、栄養素などが明記されています。ドッグフードを選ぶ際は、裏の表記を確認すると安心です。


栄養が手軽に摂れて保存も容易なドッグフードですが、製造過程で失われている栄養素もあります。また、長持ちさせたり見た目を良くしたりするために、栄養とは関係ない添加物が加えられていることも多いです。


合成された添加物を長期間摂取すると、内臓への負担や体の不調などを引き起こす可能性があります。例えば、酸化防止剤(BHT、BHA)や発色剤(亜硝酸ナトリウム)、着色料(二酸化チタン)などです。


このような健康問題に関わるリスクのあるものは、ペットフード安全法で使用上限が定められているため、不安な場合は確認しておきましょう。


参考:環境省「ペットフード安全基準規格等 [動物の愛護と適切な管理] 」


手作りご飯でその子に合った食事ができる


手作りご飯なら、その子の年齢や体質、運動量などに合わせて栄養バランスを調整できます。加工食品では得られない”生きた栄養”や酸素が体の回復力を助けてくれるでしょう。


また、ドッグフードの食いつきが悪い犬なら、手作りでその日によって食材を変えることで食いつきが良くなる可能性があります。新鮮な食材を使用して飼い主自身が作るため、無添加で安全な食事を与えることが可能です。


ドッグフードをやめて手作りご飯するメリット|犬の心と体の変化


今与えているドッグフードのみで栄養が足りているかもしれませんが、手作りご飯なら栄養面以外にもさまざまなメリットが得られます。ドッグフードをやめて手作りご飯にすることで得られる、3つのメリットを見ていきましょう。


手作りご飯で免疫が整う


バランスの良い手作りご飯を与えると、腸内環境が整い、免疫力も整う可能性があります。免疫力が整えば、免疫疾患になったとしても軽く、治りやすい、さらに漢方薬も少なくすむことが多いです。


そのためには、肉類や野菜、穀物などを組み合わせ、その子に必要な栄養バランスを考慮する必要があります。手作りご飯で免疫を整えるなら、きのこ類や発酵食品などがおすすめです。


その子の好みやアレルギーなどに気をつけながら、取り入れてみると良いでしょう。


体のサインは「毛」に現れることが多い


犬の体の状態は、「毛」に現れることが多く、毛が整っていれば体が整ってきている証拠といえます。


実際に当院でも、漢方薬を始めたのと同時に、ドッグフードから手作りご飯に切り替えた例があります。この子は、当初薄毛で地肌が目立っていた状態でしたが、漢方薬治療と手作りご飯によって地肌がほぼ見えなくなるくらいになりました。


これは、しっかりと体が整ってきている証拠です。犬の毛の状態が気になる方は、獣医に相談したうえで、手作りご飯に変えるのも一つの方法です。


病気の予防にも役立つ


手作りご飯にするなら、「今日どのくらい水を飲んでいるかな」「どのくらい運動したかな」など、犬の状態をよく観察する必要があります。


このような観察は、犬の好きなものを見つけたり、量・全身の状態をみたりするきっかけとなるのです。そのため、体調不良の早期発見につながり、病気の予防に役立つ可能性があります。


長く元気に過ごすためには、日々犬の様子をしっかりと見ることが欠かせません。手作りご飯は、日々の犬の状態を知るきっかけの一つになるといえるでしょう。


【脱・ドッグフード】無理なく始める手作りご飯のポイント


「手作りご飯は大変…」というイメージがあるかもしれません。実は、犬の手作りご飯は家庭にあるもので簡単に始められます。手作りご飯を始めるポイントを確認しておきましょう。


質素な食事で十分


手作りご飯というと、豪華にしなきゃと考える飼い主さんが多いですが、実は質素な食事で十分です。犬の手作りご飯は、家庭にある食材を使って気軽に始められます。


まずは、タンパク質(肉や魚類)と炭水化物(ご飯や芋類)を1:1の割合で、必要カロリーを補ってあげましょう。その後は様子を見ながら、1種類ずつ野菜を加えていくのがおすすめです。


さまざまな色の野菜を摂れると良いですが、その子にとって消化が得意、不得意の野菜があるため、便の様子を見ながら焦らず1種類ずつ増やしてあげるようにしましょう。


犬にあげてはいけない食べ物


手作りご飯の際に注意したいのが、犬が食べると中毒症状を起こしてしまう食べ物です。犬の命を守るためにも、以下の食べ物は与えないようにしましょう。


・チョコレート、ココア

・ブドウ

・カフェイン

・レーズン

・ネギ類

・アボカド

・銀杏

・アルコール

・キシリトール


このように、犬が食べてはいけないものは、人の身近にある食材が多いです。なかには、深刻な中毒症状を引き起こし、死に至る可能性もあります。万が一食べてしまった場合は、すぐにかかりつけの動物病院を受診しましょう。


季節の食材で体を整える


季節の食材を与えることで、そのときの気候に合った栄養素を効率的に摂取できる可能性があります。また、旬の食材はうまみと香りが強く、犬がより美味しく食事を楽しめます。


例えば、夏はきゅうりやズッキーニ、冬ならサツマイモやカボチャなどです。季節の食材を摂ることで、夏は体を冷やす・冬は体を温めるなどの効果が得られ、犬の体を整えるきっかけとなります。


ドッグフード・手作りご飯についてよくある質問

Q1. ドッグフードから手作りご飯に切り替えるタイミングはいつがいいですか?

体調が安定している時期に、少しずつ切り替えるのがおすすめです。まずはドッグフードの一部を手作りご飯に置き換え、2〜3週間ほどかけて様子を見ながら調整しましょう。病気の時に手作りご飯に変えたい場合は、獣医師に相談すると安心です。

Q2. 手作りご飯だけで栄養は足りるの?

基本的には、肉・魚・炭水化物・野菜をバランスよく組み合わせれば、必要な栄養を補うことができます。栄養をしっかり補うには食材の鮮度が大切です。ご飯を作るさいは、人間も食べられる鮮度のよい食事を与えましょう。

Q3. 毎日手作りご飯を作るのは大変そう…どうすれば続けられる?

手作りご飯は豪華にする必要はなく、家庭にあるものでOKです。犬に与えてはいけない食べ物に注意しながら、人間が食べる食材を少し分けて続けてみてください。


まとめ|ドッグフードはやめるべき?手作りご飯で健康な体づくりを


近年のドッグフードは、保存ができて手軽に与えられるのに加えて、栄養が豊富で美味しいものが増えています。しかし、添加物が含まれていたり、製造過程で失われている栄養素があったりするのも事実です。


手作りご飯なら、その子に合った食事を与えられ、免疫を整える効果や病気の予防に役立つ可能性があります。「手作りご飯は難しそう」と考える方が多いかもしれませんが、豪華なものを作る必要はありません。


家にある食材を細かく刻んだり茹でたりして、与えるだけで十分です。犬に与えてはいけない食べ物をしっかりと確認し、犬の様子を見ながら与える野菜を1種類ずつ増やしていきましょう。


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