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- 飼い犬がエリテマトーデス診断されたら…漢方薬治療の選択肢について解説
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- 2025/11/04
 - 免疫性の炎症
 
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愛犬の調子が悪くて病院に行き、「エリテマトーデスの可能性があります」と言われても、どのような病気なのか想像しづらいかもしれません。また、「治る病気なの?」「どんな治療法があるの?」など、さまざまな疑問が出てくるでしょう。
犬のエリテマトーデスは自己免疫疾患の一つで、発症すると完治が難しいとされています。長きにわたる投薬が続くため、薬の副作用によって免疫が乱れ、他の病気を併発してしまう子も多いです。
本記事では、病気の進行・重症化を防ぐ方法として、漢方薬治療の選択肢について解説します。最適な治療法を選択できるように、エリテマトーデスの原因や症状など、基礎知識も併せて理解しておきましょう。
犬のエリテマトーデスとはどんな病気?原因・症状を解説

犬のエリテマトーデスとは、免疫異常によって起こる自己免疫疾患で、全身の炎症によってさまざまな症状が現れる病気です。ここでは、エリテマトーデスの原因や症状など、基礎知識を解説します。
免疫異常によって起こる病気
犬のエリテマトーデスは、自己免疫システムが自分自身の細胞や組織を誤って攻撃してしまう、免疫異常によって起こる自己免疫疾患です。全身の臓器に症状を起こす全身性エリテマトーデスと、顔の皮膚などの局所に症状が現れる皮膚エリテマトーデスの2種類に分類されます。
どちらも根本的な原因は未解明な部分が多いですが、遺伝的要因やレトロウイルスの感染などが考えられています。また、薬物投与やストレス、紫外線にあたることなどによって症状が悪化する可能性があるともいわれている病気です。
参考:PS保険「犬の全身性エリテマトーデスの症状と原因、治療法について」
全身の炎症によって起こること
エリテマトーデスは、全身に起こる炎症によってさまざまな症状が現れます。
・体の痛み
・歩行不全
・元気消失
・食欲低下
また、免疫異常によって起こる病気のため、肺炎や貧血などを併発する恐れもあります。
エリテマトーデスは治る?
犬のエリテマトーデスは、完治が難しい自己免疫性疾患です。投薬でのコントロールが続くことが多く、特に免疫異常を治せない西洋医学では、薬で炎症を抑え続けるしかありません。
治療開始後は、薬の投与や定期的な通院で症状をコントロールしながら、いかに生活の質を整えるのかが重要です。重症化を防ぐためにも、症状の悪化やいつもと違う様子が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
犬のエリテマトーデスの治療法|西洋医学的な方法と漢方薬治療

犬のエリテマトーデスの完治は難しく、ステロイドや免疫抑制剤で炎症を抑え続けるのが一般的です。しかし、長きにわたる投薬は犬の体に大きな負担となり、薬の副作用によって免疫が乱れてしまう恐れもあります。最適な治療法を選択できるように、西洋医学的方法と漢方薬治療の特徴を理解しておきましょう。
西洋医学|症状を抑えるのが一般的
犬のエリテマトーデスに対して、西洋医学ではステロイドや免疫抑制剤で炎症を抑えるのが一般的です。症状を抑えるだけの対症療法が続くため、薬の副作用によって免疫が乱れてしまいます。
また、症状が緩和したからといってステロイドを減らすと再発してしまうことがほとんどで、結局薬を止めることができません。このような状態が続くと、薬は増えていくばかりで、免疫がさらに低下して他の病気を併発するリスクがあります。
漢方薬|弱った免疫を整える
東洋医学では、弱った免疫を整えるために漢方薬治療を行います。漢方薬で免疫や体のバランスを整えることができれば、ステロイドや免疫抑制剤を止められる可能性があるのです。
ただし、ステロイドには依存性があるため、急に減らすとリバウンドする恐れがあります。リバウンドが起こると激しい炎症が起こることがあるため、体調を見ながら、その子に合わせた治療を行うことが大切です。
漢方薬治療はただ炎症を抑えるだけでなく免疫や体質を整えるため、体調が良くなり、他の不調も改善できる可能性があります。このように、体調から整えることができるのが、漢方薬治療の魅力の一つといえるでしょう。
【当院の症例】犬のエリテマトーデスに対する漢方薬治療の実際

漢方薬治療は、犬のエリテマトーデスに対してどのような効果に期待ができるのでしょうか。漢方薬治療とはどのようなものなのかをイメージができるように、当院でのエリテマトーデスの症例を紹介します。
西洋医学を続けていたが治らない
当院では、「ステロイドや免疫抑制剤などの西洋医学的な治療を続けていたが、治らない…」という理由で来院される方が多くいます。
4歳のミニチュアシュナウザーの症例では、2年間西洋医学を続けていましたが、ステロイドを減らすと再発してしまい薬を止められない状態でした。そこで、当院の漢方薬治療で体質を整え、まずは免疫抑制剤を止め、ゆっくりとステロイドも減らしていくことでリバウンドを防ぎます。この結果、どちらも止めることができて元気になり、毛艶も良くなりました。
薬を止めた後は、体質を維持できる程度に最小限の漢方薬で体調を整え、再発を予防していきます。
ステロイドが減薬できた
ステロイドには依存性があるため、体調を見ながら慎重に減らしていく必要があります。
当院の症例では、免疫抑制剤を止めてステロイドも減薬していましたが、リバウンドで急激に悪化してしまうことがありました。この場合は、漢方薬の量を増やすのと同時にステロイドを増やし、炎症が落ち着いてから慎重にステロイドを減らしていきます。
このような手段で治療を進めることで、ステロイドを減薬することができ、体調も良くなりました。
大好きなお出かけに行けるまで回復
当院でエリテマトーデスの治療を行った子のなかには、大好きなお出かけに行けるまでに回復している子もいます。
漢方薬治療で免疫と体質、神経の働きを整えることで、ステロイドを減らしながらもさまざまな症状が落ち着いた症例です。体調が良くなり、今までで一番の元気を取り戻し、大好きな家族とのお出かけや旅行を楽しめるようになるまで回復しました。
犬のエリテマトーデスについてよくある質問
Q1. 漢方薬はどんなふうにあげるの?味や飲ませ方が心配です。
犬用の漢方薬は、フードやおやつに混ぜて与えることができます。体にあっていれば、苦味を感じない場合も多く、受け入れが良い子も多いです。どうしても苦手な場合は、飲みやすい工夫を一緒に考えていきますのでご安心ください。
Q2. 漢方薬治療を始めると、すぐに効果が出ますか?
早い子では、1週間ほどで「元気が出てきた」「食欲が戻った」といった変化が見られます。2週間以上経っても変化がない場合は、体質に合わせて漢方薬を調整します。焦らず、体調の変化を観察しながら続けていくことが大切です。
Q3. エリテマトーデスでも、漢方薬で日常生活を楽しめるようになりますか?
はい、体質や免疫のバランスが整ってくると、症状が安定して活動量が増えるケースが多いです。当院でも、漢方薬治療によってお出かけを楽しめるようになった子がいます。症状を抑えるだけでなく、「その子らしい生活を取り戻す」ことを目指せるのが、漢方薬治療の大きな特徴です。
まとめ|犬と元気に暮らすために…最適な治療法を選択しよう
犬のエリテマトーデスは、免疫異常によって起こる病気で、発症すると完治が難しいといわれています。西洋医学では、ステロイドや免疫抑制剤で炎症を抑え続ける治療法が一般的です。
しかし、長きにわたる投薬は犬の体への負担が大きく、免疫が乱れやすくなります。そのため、エリテマトーデス以外の病気を併発し、体が弱ってしまう子も少なくありません。
これからも愛犬と楽しく過ごすためには、体への負担が少ない治療法を検討することも大切です。そこで、免疫や体質を整える効果に期待ができる漢方薬治療で、根本的な原因を解決すると以前のようなお出かけができるようになる可能性があります。
「薬の量を減らしたい」「症状を楽にしてあげたい」と悩んでいる方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
 

















