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犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)は春に増えやすい?体への負担が少ない治療の選択肢
2026/05/13
免疫性の炎症

犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)やその他の免疫疾患において、漢方薬で「治る子、治らない子」の違いはどこにあるのでしょうか。同じ病名であっても、漢方薬を飲み始めてすぐに数値が安定する子もいれば、なかなか思うように回復しない子もいます。


「どうしてうちの子は…」と不安になることもあるかもしれませんが、そこには明確な理由があります。実は、暖かくなる春や季節の変わり目といった環境、その子の体質などの刺激が深く関わっているのです。


本記事では、病気の基礎知識とあわせて、体への負担を抑えた治療や漢方薬の役割をわかりやすく解説します。愛犬の健康を守るために、治療の選択肢の一つとして参考にしてみてください。


犬の免疫介在性溶血性貧血とは?知っておきたい基礎知識と主な症状

犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)は、自分の赤血球に対する抗体を作ってしまい、その抗体が自分自身の赤血球を攻撃して破壊することで貧血が起こる病気です。早期発見、早期治療につなげることが愛犬の命を守る第一歩となるため、些細な変化を見逃さないように基礎知識を理解しておきましょう。


免疫介在性溶血性貧血の原因

犬の免疫介在性溶血性貧血の原因は、大きく以下の2つにわけられます。


原発性または特発性:明確な原因はわかっていないが、免疫の異常や体質によるものと考えられている。

二次性:薬剤の副作用や悪性腫瘍、ワクチン接種などが引き金になることもある。


原因がどちらであったとしても、現れる症状は同じです。早期発見と適切な治療がカギとなるため、初期症状〜危険なサインまでを確認しておきましょう。


参考:一般社団法人日本臨床獣医学フォーラム「犬の病気 免疫介在性溶血性貧血」


初期症状〜危険なサイン

犬の免疫介在性溶血性貧血の初期症状として、「なんとなく元気がない」「散歩好きなのに散歩を嫌がるようになった」「食欲が低下している」といった、些細な変化が現れます。


その後、嘔吐や下痢、歯茎や舌の色が白っぽくなるなどの症状が見られると、症状が進行している可能性が高いです。些細な変化でも違和感があれば、早めに獣医師に相談しましょう。


また、以下の症状は特に危険なサインです。


・赤い尿が出ている

・呼吸が早い

・ぐったりして動かない

・発熱


様子見はせず、すぐに動物病院を受診することが大切です。


一般的な治療法

発症の原因が特定できている場合は、それを取り除く治療を行いますが、犬の免疫介在性溶血性貧血は原因不明で起こることも多いです。その場合は、免疫抑制剤やステロイドを使用して治療を行い、貧血が重度であれば輸血を行うこともあります。


免疫抑制剤やステロイドなどは強力に炎症を抑えてくれますが、「最初は薬で数値がグッと良くなったけれど、その後急激に悪化してしまう」というケースも少なくありません。これは、薬が炎症を抑える一方で、副作用によって免疫そのものの力をさらに弱め、乱れを深刻化させてしまうのが要因です。


薬の「炎症を抑える効果」よりも、副作用による「免疫の乱れ」が上回ってしまったとき、病状が一気に悪化してしまうこともあります。


春に増えやすい?犬の免疫介在性溶血性貧血と体内の熱やワクチンの関係

春は、気温上昇により体に熱がこもりやすく、炎症体質の兆候が出やすい時期です。また、ワクチン接種や予防薬の開始が重なることもあり、免疫の刺激が犬の免疫介在性溶血性貧血を引き起こす要因にもなります。


愛犬の目の充血や体温など、些細な異変に注意しましょう。


気温の上昇で体調を崩しやすくなる

気温が上昇する春や季節の変わり目は、炎症を起こしやすく、体調を崩しやすい時期です。特に、免疫が弱っている子は炎症をコントロールしづらくなり、免疫疾患を発症しやすくなります。


同じ時期にいつも体調を崩すと、毎年不安や心配が大きくなる方は少なくありません。しかし、このような病気は急に起こるのではなく、事前に体の熱が強くなり、炎症体質になっている兆候が現れることが多いです。


炎症体質の兆候をチェックし、早めに対策できるようにしておくとよいでしょう。


ワクチン接種や予防薬との関連性

犬の健康を守るためのワクチン接種ですが、そのワクチンによって免疫が刺激され、免疫疾患を発症することもあります。


また、普段当たり前のように与えている予防薬も、体の負担が大きいものが増えています。そのため、それが刺激になり免疫疾患の引き金になることも珍しくありません。


ワクチン接種や予防薬の投与を行う際は、「毎年やっているから大丈夫」と油断せず、愛犬の様子や体調をしっかりと確認するようにしましょう。気になることがあれば、事前に獣医師に相談すると安心です。


炎症体質の兆候が現れたら体を整える治療を

炎症体質の兆候として現れるのは、以下のような症状です。


白目が赤い、充血している、目ヤニが増えた

→結膜炎までではなく症状が軽いため、病院に相談しても放っておかれることがある。点眼をしても改善が見られない場合は、体全体を整えてあげることが大切。

体が温かい、皮膚が赤くなっている

→本能的に玄関やフローリングなどで寝そべることが増える。パンティングまではいかなくても、口を開けて息をすることが増える。

黄色い胃液の嘔吐、多食など

→散歩中に草をよく食べるようになる、床をよく舐めるといった行動が見られるようになる。


このように、普段と違う行動や症状が見られたら、早めに獣医師に相談するようにしましょう。早期発見が予後を大きく左右します。


犬の免疫介在性溶血性貧血と向き合うために…漢方薬治療でできること

犬の免疫介在性溶血性貧血の漢方薬治療では、ステロイドによる副作用軽減や減薬のサポートを行います。強い薬でただ症状を抑えるだけでなく、早期に漢方薬を取り入れて体内のバランスを整え、根本的な体質改善を目指しましょう。


減薬と副作用軽減のサポート

ステロイドの減薬と副作用軽減のサポートを行う漢方薬治療ですが、「今の体の状態がどれだけマイナスの地点にあるのか」という、漢方治療における考え方を理解しておくことが大切です。


例えば、発症してすぐに漢方治療を開始した場合、「ステロイド治療の期間が短い→免疫へのダメージがまだ浅い→マイナスが小さい」と考えられます。この段階で漢方治療を開始できると、マイナスへのリカバリーが進みやすくなります。


一方で、発症から数ヶ月経過してから漢方治療を開始した場合、「多量のステロイドや免疫抑制剤を使用している→薬の影響で免疫が弱まり乱れ続けている→マイナスが大きく刻まれている」という状態になります。このような場合、プラスに転じさせるにはどうしても膨大な時間と根気が必要となります。


根本的な体質改善を目指す

漢方治療では、症状を抑えるだけでなく、過剰な炎症を鎮めて免疫を整える効果に期待ができます。過剰な炎症を起こしてしまうほど、乱れてバランスが崩れている免疫の状態を漢方薬で整えてあげることが大切です。


根本的な体質改善を目指すことで、ステロイドの減薬や再発防止につながります。


強い免疫抑制剤を使い続けるのは、再発のリスクを抱えながら「時間を稼ぐ」行為に近いかもしれません。治療の現場では、多量の免疫抑制薬で逆に数値が悪化していく場合、これ以上免疫を乱さないためにも「あえて薬を減らす(やめる)」という選択が必要になる局面もあります。これは、「その子が本来持っている免疫の回復力」に託すという決断ですが、あくまで漢方薬で原因である免疫を整えながらです。弱った免疫をケアせずに、薬を減らしたり、止めれば必ずリバウンドで悪化します。


犬の免疫介在性溶血性貧血に関してよくある質問


Q1.免疫介在性溶血性貧血の再発が不安です…。完治するのでしょうか?

免疫が乱れやすい体質のままだと、再発の不安は消えないでしょう。そのため、漢方薬で原因を改善することが大切です。根本原因を改善することができれば、再発を予防することができます。


Q2.薬による副作用が辛そうなのですが、漢方で和らげられますか?

副作用を抑えるには、薬を減らす必要がありますが、原因を改善できないまま減薬すると再発する恐れがあります。そのような場合は、漢方治療を併用して原因を改善し、再発を防ぎながら薬を減らすサポートを行うことが可能です。


Q3.現在西洋医学の治療中ですが、漢方薬と併用して治療を進めることはできますか?

まずは、西洋医学で症状や炎症を抑えながら、同時に漢方薬で体そのものを整えていきます。その後、体や免疫のバランスが整えば、西洋医学の薬を減らしていきます。両方の利点を活かした適切な治療ができれば、犬の体への負担を軽減できるでしょう。


まとめ|春に増える犬の免疫介在性溶血性貧血から守るために大切なこと

犬の免疫介在性溶血性貧血を含めた免疫疾患が漢方薬でスムーズに治るかどうかは、その子の運や薬の良し悪しだけではありません。何より大切なのは、「どれだけ早く、免疫をこれ以上乱さない治療にシフトできたか」です。


今苦しい状況にいる子たちは、それだけ長い間、病気や強い薬と戦ってきています。正解がすぐに見えない闘病生活ですが、「これ以上免疫(病気の原因)を乱さないこと」がとても重要です。


その子が持つ本来の生命力を信じて、漢方の力で一歩ずつプラスの方向に引き戻してあげましょう。春に増えるこの病気から愛犬を守るために、体質も見つめ直すことから始めるのがおすすめです。



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