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- 犬の病気に漢方薬という選択肢|長引く治療から抜け出すためにできること
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- 2025/12/19
- 治療方針、その他
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犬の慢性的な病気や長引く不調に悩んでいると、「この治療で本当に良くなるのだろうか」「もっとできることはないのかな」と感じる飼い主さんは多いです。
西洋医学による治療はとても大切ですが、対処療法が中心となるため、原因がはっきりしない病気や長引く症状では改善がゆっくりなケースもあります。こうした状況から、最近は体質やバランスを整えるという漢方薬治療が注目されています。
この記事では、犬に漢方薬は使えるのか、どんな病気に役立つのか、そして安全に始めるためのポイントをわかりやすく解説します。
犬の病気にも漢方薬は使える?基本と効果をわかりやすく解説

犬に漢方薬をあげる時「苦くて飲めないのでは」「効果はあるの?」という質問をいただきます。漢方薬は自然のものなので、体に合っていれば苦味を感じず、受け入れてくれる子が多いです。犬に漢方薬を使う目的や対象となる病気を知っておきましょう。
犬に漢方薬を使う目的とは
漢方薬は「症状そのものを抑える」というよりも、体全体のバランスを整え、治す力を引き出すための治療法です。
そのため、
・原因がわかりにくい病気
・再発を繰り返す病気
・加齢や体質によって起こる慢性症状
など、長く治療を続けていても改善しにくい不調に希望が持てる選択肢です。
漢方薬で改善が期待できる主な病気
漢方薬は幅広い病気に使用することができます。
・皮膚病(アトピー、脱毛、湿疹など)
・胃腸トラブル(下痢・嘔吐・胃腸虚弱)
・心臓・腎臓・肝臓などの慢性疾患
・シニア犬の体力低下や元気の衰え
西洋医学は「症状に対する治療」を行うため、診断が難しい病気や原因不明の症状には治療が届きにくい場合があります。 一方、漢方薬は「体のバランスを整える」「不調の根本を整える」という考え方のため、原因が見えにくい不調にもアプローチできるのが特徴です。
長く続く病気でも、体のバランスが整うことで、元気さや生活の質が改善するケースもあります。
漢方薬とサプリの違い
最近は漢方や自然な治療が注目されているため、市販の漢方サプリがあります。しかし、漢方薬とサプリは次のような違いがあるため、注意が必要です。
・漢方薬は根拠のある医療であり、獣医師が体質や症状に合わせて処方するもの
・サプリはあくまで補助であり、医薬品に指定される生薬成分が含まれないため効果が限定的
・人間用の漢方薬を自己判断で犬に与えるのは危険
漢方薬は、体質・状態を正確に見極めて使用することで力を発揮します。
どのような経過で改善する?当院で行った犬の漢方薬治療の例

犬の不調や病気に対して、漢方薬を使用している例を知っていると、安心して使用できるでしょう。ここでは、当院で行った犬の漢方薬治療の例を3つご紹介します。
ステロイドを減薬できた「全身性エリテマトーデス」の症例
免疫異常による炎症で、痛み・歩きにくさ・肺炎など複数の症状が起こっていました。西洋医学では免疫抑制剤やステロイドを使って炎症を抑えますが、根本から改善していないため、治療は長期化。
ステロイドの減薬と漢方薬で免疫を整えた結果、貧血が回復し、体調がよくなりました。その結果、今までで一番元気に過ごせているという変化が見られました。
体質と免疫を改善している「アトピー性皮膚炎」の症例
治療薬(アポキル)を減らしたくても、止めると痒みや湿疹が悪化し、皮膚が黒ずんでしまう状態になっていたアトピー性皮膚炎の症例です。
当院では、
・乾燥が強い時期は陰(潤い)を補う治療
・寒さで悪化しやすい時期は体を温め血流を整える
というように、漢方薬を季節と体質に合わせて調整しました。
皮膚の潤いが戻り、冷えや血流が改善してくると、炎症が落ち着き、アポキルを徐々に減らすことができました。現在は皮膚の状態も安定し、冷えによる震えも見られなくなっています。
病気の再発予防をしている症例
腫瘍の手術後、再発予防として漢方薬で体質改善を続けているケースもあります。免疫細胞が腫瘍化する肥満細胞腫は、もともと免疫のバランスの乱れが関係していることが多いため、免疫を整えておくことが再発予防の鍵です。
体質改善の目的で漢方薬を続け、手術後1年以上、再発なく体調良く過ごせています。漢方薬治療は、犬の生活の質を保ちながら安心して過ごせるサポートとして役立つと考えています。
犬の漢方薬治療を始める前に知っておきたい3つのこと

漢方薬は「自然のものだから安心」というイメージがありますが、きちんと理解していないと効果が出にくい場合があります。犬の漢方薬治療を安全に始めるために、これからご紹介する3つのことを知っておきましょう。
①漢方薬の副作用
漢方薬は自然由来の生薬を使用するため、西洋薬と比べて副作用が少ないといわれます。しかし、用法/容量を間違えると副作用がでます。その子の体質に合っているか、量が適切かがとても重要です。
②西洋薬との併用ができる
いつまでも終わらない西洋薬は漢方薬と併用することで、徐々減らせるケースもあります。体の根本や免疫が整ってくると症状を抑える薬が必要なくなるのです。ただし、ステロイドなどはリバウンドが出る可能性もあるので、減薬する場合は必ず獣医師に相談しましょう。
③安全に始めるには獣医師に相談しよう
体質に合わない漢方薬を使用すると、逆効果になる場合があります。症状や不調を改善したい場合は、漢方薬に詳しく、東洋学的な診断を正確にできる獣医師に相談するのが大切です。
自己判断で漢方薬を使用すると、次のようなことが起こるかもしれません。
・冷えている体質の子に、熱を下げる漢方を使う → 体がさらに冷えて悪化
・体の熱が原因で炎症が出ている子に、気を補う漢方薬を使う→炎症がさらに悪化
・体が弱っているのに刺激の強い処方を使う → 負担になる
漢方薬は、その子の現在の体の状態を診て処方するのが最も重要です。
犬の漢方薬についてよくある質問
Q1. 犬の漢方薬治療は、どのくらいの期間続けるものですか?
犬の漢方薬治療は、症状や目的によって期間が異なります。体のバランスが整い、お悩みが改善すれば休薬するケースもあります。しかし、症状の再発を抑えたり、体質をサポートしたりする場合は、漢方薬を続けるのがオススメです。Q2. 犬の漢方薬の効果はすぐにでますか?
症状により異なりますが、漢方薬が体に合っていれば、1週間ほどで効果が現れるケースが多いです。元気が出る・毛艶がよくなる・食欲が出るなどの様子が見られるでしょう。すぐに効果が出ない場合は、漢方薬が合っていないかもしれません。かかりつけのお医者さんに相談しましょう。
Q3. 犬の漢方薬は通販や人間用のものを使っても大丈夫ですか?
通販で購入できる漢方サプリや、人間用の漢方薬を自己判断で犬に与えるのは避けましょう。漢方薬は「どの生薬を、どの組み合わせで、どの量使うか」が非常に重要で、体質に合わないと逆に症状が悪化することがあります。また、人と犬では体の仕組みや代謝が異なります。犬に漢方薬を使う場合は、漢方治療に詳しい獣医師の診察を受け、動物用として適切に処方されたものを使用することで、安全性と効果の両方が期待できるでしょう。
まとめ|犬の病気は漢方薬で根本からケア!安全に使用して生活の質を改善
犬の病気や不調に対して、漢方薬は使えるのか・効果はあるのかについて解説しました。漢方薬は犬の様々な病気だけでなく、加齢による体の変化や元々の体質改善なども期待できます。
漢方薬治療専門の獣医師に相談することで、犬の健康を下支えでき、元気な日々を送れる一歩となるでしょう。

















