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- 犬のアトピー性皮膚炎に漢方は効くのか|原因・治療・日常のケアを解説
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- 2025/12/02
- 皮膚の症状
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犬のアトピー性皮膚炎は、1歳〜3歳の若い子に発症することが多く、慢性的なかゆみや皮膚の炎症が起こる病気です。完治が難しいとされているため、「服薬や治療を長く続けている」という方も多いでしょう。
しかし、長期間にわたる服薬や治療は犬の体に大きな負担となり、免疫力の低下やほかの免疫疾患を引き起こす可能性があります。生活の質が低下する要因にもなるため、体質を整えて根本的な原因の改善を目指すことが大切です。
今回は、犬のアトピー性皮膚炎の特徴や原因、治療法などを詳しく解説します。西洋医学・東洋医学のそれぞれのアプローチ方法を知ることで、愛犬に合った適切な治療法を選択できるようになるでしょう。
犬のアトピー性皮膚炎とは?体のバランスが崩れて起こる“かゆみ”

愛犬が頻繁に目を擦ったり足先や耳を掻いたりしていたら、アトピー性皮膚炎かもしれません。早期発見が重要となるため、アトピー性皮膚炎の特徴や悪化する原因などを理解しておきましょう。
アトピー性皮膚炎とは
犬のアトピー性皮膚炎は、遺伝や環境的要因によって慢性的なかゆみや皮膚の炎症を伴う病気です。耳や顔、足先などに症状が出やすく、体を頻繁に掻いたり舐めたりすることで脱毛や傷などが見られます。
アトピー性皮膚炎は、1歳〜3歳の犬に見られることが多いのが特徴です。慢性的なかゆみは犬にとって大きなストレスとなり、生活の質を低下させる恐れがあります。疑わしい症状が現れたら、なるべく早く動物病院を受診し、早期発見・治療を行うことが重要です。
参考:J-stage「アトピー性皮膚炎を極めるー犬の臨床現場を中心にー」
アトピーを悪化させる原因
犬のアトピーを悪化させるのは、遺伝・環境・食事・ストレスなどが主な要因といわれていますが、アレルギー体質が原因であることも少なくありません。
また、寒くなってくると血流が減少し、発症・悪化する「老人性アトピー」になる可能性もあります。ただし、高齢期なってからのかゆみはアトピー性皮膚炎とは異なることも多いため、自己判断せずに獣医師に相談しましょう。
アトピー性皮膚炎は治る?
犬のアトピー性皮膚炎は、完治が難しく、継続的な治療や食事管理などが必要とされている病気です。ただし、適切な治療を行えば、薬を減らしたりかゆみが改善したりする可能性があります。
「完治が難しいからとりあえず言われたとおりの薬を使い続ける」のではなく、愛犬の体質や体調を見ながら、適切な治療法を選択してあげることが大切です。脱毛や手舐めなどによってさらに炎症が悪化する恐れもあるため、なるべく早く適切な治療を行い、愛犬の不快感を取り除いてあげましょう。
東洋医学の視点からみる犬のアトピー性皮膚炎の治療法

犬のアトピー性皮膚炎に対する治療は、西洋医学と東洋医学でアプローチ方法が異なります。その子に合った治療法を選択するためにも、それぞれのアプローチ方法や特徴をチェックしておきましょう。
西洋医学の治療法
西洋医学では、ステロイドやアポキル、最近では新薬であるゼンレリアなどの痒み止めでの薬物療法でかゆみを緩和するのが主流です。しかし、これらの薬物療法では「なぜかゆみが起こっているのか」という、根本的なアプローチができません。
薬による副作用が起こることもあり、痒みの根本を治療できない分、服薬や治療を一生涯にわたって続けなければいけなくなることも多いです。また、服薬と併せて、薬用シャンプーによるスキンケアや食事療法、環境管理などを行うこともあります。
漢方では体質改善を目指せる
東洋医学ではアトピーは、冷え、ストレス、血の巡り、体の熱やその偏りが関係していると考えられています。そのため、アレルギー体質のままでは、抗原を避けてもまた抗原に対して反応してしまうでしょう。
反応し続ける状態が続くと、食べ物や使える物、行動範囲が狭まり、犬の生活の質が大きく低下してしまいます。そのような状態になるのを防ぐためにも、病気を引き起こす免疫や体のバランスなどの原因を探り、改善していくことが大切です。
漢方薬治療で体質や免疫を整えれば、アトピーやアレルギーによる症状の改善を目指せる可能性があります。
今まで使用していた薬を減らせる可能性
アトピー性皮膚炎の治療では、アポキルやステロイドを使用するのが一般的ですが、これらの薬は副作用が起こる可能性があります。
例えば、ステロイドは依存性があり、急に止めるとリバウンド反応が出て悪化することが多いです。また、比較的安全性が高いといわれているアポキルですが、リバウンドが強く出ることも少なくありません。
そのため、服薬が辛そうだからと急に薬の使用を止めるのではなく、漢方薬と併用して少しずつ減らしていくことが重要です。ゆっくりでもその子の体質を見ながら薬の量を調整することで、体質の改善や免疫力の向上につながります。
犬のアトピー性皮膚炎には体質改善と日常的なケアが必要!

犬のアトピー性皮膚炎を改善するには、症状を抑えるだけでなく、根本の原因に対するアプローチが大切です。ここでは、漢方で体質を整える際の注意点と日常的なケアの工夫を紹介します。
漢方で体質を整える際の注意点
漢方で体質を整えることは大切ですが、自己判断で薬を減らしたりやめたりすると、症状が悪化してしまう恐れがあります。また、市販でもサプリが販売されていますが、症状が重い場合やその子に合っていないと効果がないことも少なくありません。
漢方薬は、その子の体質や症状に合わせて使用することで効果に期待ができる治療法です。自己判断で与えずに、まずは獣医師に相談して治療を進めるようにしましょう。
入浴で工夫できること
細菌感染やマラセチアが原因の場合や、脂漏性皮膚炎の場合は、ある程度の頻度でシャンプーするのが有効です。ただし、シャンプーで乾燥が悪化して余計にかゆみが強くなることもあるため、根本にある原因を改善することが何よりも大切です。
シャンプー後にかゆみが楽になっている様子が見られるなら、週に1〜2回を限度にしてあげる良いでしょう。かゆみに変化がないのであれば、無理に頻繁にシャンプーをする必要はありません。
「冷え」への対策
犬のアトピー性皮膚炎は、特に秋冬の季節は冷えによって悪化することもあります。そのような場合は、室温や湿度をコントロールしてあげましょう。室温は23〜25度程度、湿度は40〜60%が目安で、服や腹巻きなどで体を温めるのも効果的です。
ただし、炎症体質の子や熱がこもりやすい子は体を温めることが逆効果になる恐れがあります。「本当に冷えだけが原因か」ということを見極めるためにも、動物病院を受診して、適切な診断を受けることが大切です。
犬 アトピー性皮膚炎についてよくある質問
Q1. 漢方薬はどれくらい続ければ効果が出ますか?
早い子だと1〜2週間ほどでかゆみの変化が見られることがありますが、継続して体質の改善を目指す子も多いです。ただし、体質や症状によって期間は異なるため、その子に合わせて獣医師が調整します。
Q2. 今の薬(ステロイド・アポキルなど)はやめても大丈夫?漢方だけで治せますか?
急に薬をやめるのはリバウンドや症状悪化の原因になるためNGです。漢方薬を飲んで西洋薬をすぐにやめるのではなく、併用しながら負担を減らし、少しずつ減薬していきます。そのため、漢方のみでの治療が可能かどうかは体質や症状によって異なります。「薬漬けにしたくない」「副作用が心配」という場合も、必ず獣医師と相談しながら段階的に治療を進めましょう。
Q3. 家でできるケアはありますか?漢方以外に体質改善のためにできることは?
はい、日常の工夫でもかゆみの悪化を防いだり、体質改善をサポートできます。特におすすめなのは以下の2つです。- 冷え対策(秋冬に悪化しやすい子に):室温23〜25℃、湿度40〜60%を目安に。腹巻きや服も有効。
- シャンプーケア:洗うと楽になる子は週1〜2回を限度に。逆に乾燥が悪化する子は無理に洗いすぎないこと。
まとめ|犬のアトピー性皮膚炎には体質を整えるケアを
犬のアトピー性皮膚炎は完治が難しいとされており、一生涯にわたって服薬や治療が必要になることがほとんどです。しかし、薬による副作用や治療のストレスは免疫力が低下する要因となり、その他の免疫疾患を引き起こす可能性があります。
そのような負担を少しでも軽減するためには、症状を抑える治療だけでなく、体質を整えるケアが必要です。急に今の薬を止めると、リバウンドで症状が悪化する恐れがあるため、ゆっくりでもその子の体調や症状を見ながら漢方薬治療を行いましょう。
すでにステロイドやアポキルで治療していても、漢方薬で痒みの原因を改善しながら少しずつ薬の量を減らすことで、体質が改善され、免疫を整えられる可能性があります。自己判断で漢方薬を与えると症状が悪化する恐れがあるため、まずは獣医師に相談するのがおすすめです。
適切な診断を受けることで、その子の体質や体調に合った漢方を処方してもらうことができ、より効果を実感できるでしょう。

















