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- 犬がおねしょをするのはなぜ?老犬と楽しく過ごすための東洋医学的な対処法
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- 2025/12/23
- 治療方針、その他
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「最近、うちの老犬がおねしょをするようになってしまった…」「夜中に粗相をして、怒ることはしたくないけど、お世話が大変で疲れてしまう」—大切な犬が年を重ねると、こんな悩みを抱える方も珍しくありません。
犬のおねしょは、老犬の体が変化したという大切なサインかもしれません。原因を理解して対応すれば負担が減り、愛犬との時間を楽しく過ごせます。この記事では東洋医学の視点も取り入れ、大切な家族である犬の健康を守り、無理なく続けられる介護の工夫を紹介します。
犬がおねしょする理由|加齢・病気・腎虚から読み解く

老犬になっておねしょが始まったとき、多くの方が「どうして急に?」と戸惑いますよね。まずは犬が漏らしてしまう原因を知ることから始めましょう。
加齢で起こる「排尿コントロールの衰え」
加齢で体が衰えていくのは、人間も犬も同じです。例えば、お腹や尿道を締める筋肉の力が弱まり、膀胱に尿をためておくことが難しくなります。また、眠りが深くなることで、尿意に気づけず漏らしてしまうケースも珍しくありません。認知症などで昼夜逆転したり、排泄タイミングの忘却など、行動リズムの変化も夜間のおねしょに繋がることもあります。
病気が原因でおねしょをするケース
急におねしょが増えたり、排尿時に痛がったりする場合は、病気が隠れているかもしれません。腎臓病や糖尿病などは、体から多量の尿が出るため、漏れやすくなります。膀胱炎や尿道結石は、炎症や痛みでトイレまで我慢することが難しくなります。
もし、残尿感や頻尿、血尿など膀胱炎を疑う症状がなければ、加齢による体の衰えが原因のことが多いです。病気の心配がある場合は、必ず動物病院で相談しましょう。
東洋医学の視点でみる「腎虚」とは
東洋医学では、体のエネルギーや老化に関わる大切な働きを「腎(じん)」と呼び、歳をとることは、この「腎のエネルギー」が弱っていく「腎虚(じんきょ)」の状態だと考えられています。
「腎」は特に冷えに弱く、寒い時期や体が冷える時間帯は腎の働きが低下しています。犬がおねしょをしやすい状態で、老犬に起こりやすいです。ただし、体質によっては若い時からおねしょを発症する子もいます。それも原因は同じことが多いです。特に避妊、去勢手術の後に発症する子もいます。
東洋医学では、この「腎」の働きを体の内側から助け、バランスを整えることを目指します。
東洋医学でできる犬のおねしょ対策|老犬の体を整えるケア

東洋医学を取り入れたケアは、体の根本からお悩みを改善できる可能性があります。適切に使用すれば、犬のおねしょや体の衰えの進行を緩やかにし、老犬の快適な毎日をサポートできるでしょう。
生活を整える
老犬の介護は、無理なく続けることが重要です。昼間は散歩に出て排泄の機会を増やしたり、日光に当たる時間を作ることで、体に必要な温かい「陽気」を取り入れ、身体的機能の維持にもつなげましょう。特に寒い時期は、冷えを避けて「腎を温める」環境を作ってあげることが大切です。食事で「腎」の働きを助けると言われる食材(例:黒豆、ひじきなど)を意識して取り入れることも有効です。
参考:J-Stage「高齢犬の認知機能低下に対する飼い主の意識調査」
腎の機能を漢方で整える
おねしょは、東洋医学において「腎」が弱まり、体が冷えている兆候の一つです。こうしたサインが見られるときは、漢方薬で「腎」の働きを直接助け、内側から温めてあげることが欠かせません。
また漢方薬は、冷えや衰えといった根本原因にアプローチし、体全体のバランスを整えてくれます。その子の体質に合わせて処方されるため、シニア期の長期的なケアには心強い味方となるでしょう。
病気の根本を治療する
病気でおねしょをしている場合は治療が必要ですが、症状だけを一時的に抑える治療では、根本的な原因が解決されないことがあります。体質から改善できる治療を考えることが大切です。鍼灸治療も、気の巡りを良くし、排尿をコントロールする神経の働きを整えてくれます。
犬のおねしょは仕方ない?老犬にできる今日からできる生活の工夫

犬のおねしょは「老犬だから仕方ない」と思っても、おねしょが続くとお世話が大変になってしまいますね。日常のケアや水分管理、冷えの対策などを行って、犬と飼い主さんが過ごしやすい日々を送れるようにしましょう。
加齢に合わせた日常ケア
寝床は防水シーツと吸水パッドを組み合わせて使うと、掃除の負担を大幅に減らせます。段差を減らし、床を滑らないようにすることでトイレまでの移動をサポートしてあげましょう。決まった時間にトイレ誘導をして、排泄のリズムを作ってあげることも大切です。
正しい水分管理の方法
水を飲む量はその子の「水の代謝力」によって決まります。例えば、体に熱がこもりやすい子は多く飲みますが、冷えがある子は少なめになるのが自然です。無理に飲ませようせず、かと言って極端に減らすのではなく、基本的には本人の自由意思に任せましょう。
良かれと思って寝る前に水分を取らせる方もいますが、自分から飲まない場合は、この時間帯の摂取を控えても大丈夫です。本人のペースを見守ってあげましょう。
冷えと巡りの対策
冷えは「腎」の働きを弱め、おねしょを悪化させます。特に老犬は、体温調整力が衰えているため、寒さの影響を受けやすく、体全体の巡りが滞りがちです。
・寝床の温活
…床冷えを避けるために寝床に少し高さを出したり、お腹から腰を温めるために腹巻きや湯たんぽ(低温やけどに注意)を使ってあげましょう。
・運動 …寒い日でも日が出ているような暖かい時間帯に短時間外に出て体を動かすことで、血の巡りをキープし体を温めることにつながります。
犬のおねしょについてよくある質問
Q1. 老犬のおねしょは、どのくらいの期間続くものですか?ずっと治らないのでしょうか
老犬のおねしょは、加齢による体の変化が背景にある場合、一時的に良くなったり、少しずつ進行したりと経過はさまざまです。東洋医学では「腎」の弱りが関係していると考え、漢方や生活ケアで体の内側から整えることで、頻度が減ったり安定するケースもあります。
「一生治らない」と決めつける必要はなく、その子の体質や状態に合わせて無理なく付き合っていく視点が大切です。
Q2. 水を飲みすぎるとおねしょが増える気がします。水の量は減らしてもいいですか?
おねしょが心配でも、水分を無理に制限することはおすすめできません。老犬にとって水分は、腎臓や体全体の巡りを保つために欠かせないものです。
東洋医学では「必要な量は体が自然に知っている」と考えます。自分から飲まない場合は無理に与えず、逆に欲しがるときは自由に飲ませてあげましょう。
Q3. 病院に行くほどではない気もしますが、漢方治療はどんなタイミングで相談すればいいですか?
「様子見でいいのか迷っている」「いきなり検査や薬は不安」という段階こそ、漢方薬相談に向いています。頻尿や血尿など明らかな異常がなければ、加齢や冷え、体力低下によるおねしょの可能性も高いからです。
漢方薬治療は、症状が軽いうちから体質を整えることを目的としています。「介護が大変になる前に、できることを知りたい」という気持ちで、気軽に相談してみてください。
まとめ|犬のおねしょの原因を知って老犬と快適に過ごせる工夫を
犬、特に老犬のおねしょは、加齢や病気、そして東洋医学でいう「腎虚」といった体の根本的な変化から起こります。おねしょを愛犬の体からの大切なサインとして受け止め、体の根本を整える東洋医学のアプローチも取り入れながら、快適に過ごせる工夫を見つけましょう。
愛犬が年老いても、ご家族と愛犬が笑顔で穏やかに過ごせる時間は作れます。「うちの子だけじゃない」と、安心してください。無理なく続けられることから一つずつ工夫していくことが、愛犬もご家族も笑顔でいられる秘訣です。愛犬の体の声に耳を傾け、今日からできる一歩を是非踏み出してください。

















