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アポキルの本当の副作用�A;依存性とリバウンド
2020/01/25
皮膚の症状
アポキルの本当の副作用�@の続きです。

アポキルの一番やっかいなところは、リバウンドがきついということです。
下の図はネズミでアポキルのリバウンドを再現した実験の結果です(文献�@)。
アポキルのリバウンドを再現したグラフ













アポキル投与しているときは(投与していない群に比べて)痒みが減少しますが、
アポキル止めた途端、一点してアポキルを飲んでいた方が極端に痒みが強くなります。
ポイントは、アポキルの投与を止めた途端、リバウンドによる強い痒みがひどくなりながら暫く(長くて、投与した期間と同じ長さ)続いているうことです。

体の中では、リバウンドによって痒みを引き起こすサイトカイン(伝達物質のこと)が増えます。
(具体的には、アトピー性皮膚炎の主要な痒み惹起物質であるIL-31や、リウマチなどの免疫炎症を引き起こす TNFα、アレルギーを誘導するTSLPが増えることが確認されています)

また、痒みを感じる神経自体も、痒みに対してとても敏感になってしまいます。

こんな状態で簡単にアポキルを止められると思いますか?









効能書に書いてる通りに止められる唯一のケースは、痒みの原因が掻くことによって皮膚のバリア機能が壊れて炎症を引き起こすという悪循環だけの場合(そういう場合は、上記のように2週間で十分なはずです)、

あるいは、アポキルで痒みを抑えているうちに原因をしっかり治療できる場合です。
そうでなければ、アポキルがアレルギーを防ぐ働きがある制御性T細胞を著しく減少させ(参考文献�A)、むしろアレルギーを悪化させる可能性まであります。


最近、どんどん気軽にアポキルを使用されることが多くなっていますが、
問題は、

アポキル(ステロイドを含めた他の免疫抑制剤も)は麻薬や覚醒剤のように、依存性が強く、無理に止めるリバウンド症状でつらい症状が続くので、一度飲み始めると休薬ことが難しい場合がほとんどということ、

かといって飲み続けると、免疫を壊してしまうため、長期的には発がん性や感染症などのリスクを抱え続けてしまうということ(前のブログ参照)、

こういうリスクを知った上で、あるいは知らされた上でアポキルを始めるのかということです。
(アポキルがいいも悪いもないです。症状だけを止める西洋薬たいていこういうものです)

そして、もし始めてしまった場合(あるいは始める前でも)、
(末永く健康でいるために)大切なことは、アポキルを止めるために、その原因をしっかり治すということです。つまり、アレルギーやアトピーの原因である免疫や体質の乱れしっかり治すことが必要です。あるいは、壊れた免疫を治すことです。
その手段としては、今は漢方薬しかないと私達は考えています。

ただ、アポキルのリバウンドはかなりやっかいです。
すんなりと止められるケースもありますが、だいたいはリバウンドによる痒みと炎症に悩まされることも多いです(治療の手応えとしてはステロイドよりもひどいです。)
それでも少しずつでも減薬していくしかないし、そうやって少しずつ減薬に成功している子もいます。

治療に正解はありません。
あなたならどうしてあげたいのか、です。

参考文献
�@Demonstration of rebound phenomenon following abrupt withdrawal of the JAK1 inhibitor oclacitinib.Eur J Pharmacol. 2017 Jan 5;794:20-26. doi: 10.1016/j.ejphar.2016.11.020. Epub 2016 Nov 12.
�AOclacitinib depletes canine CD4+ and CD8+ T cells in vitro  Department of Pharmacology and Toxicology, Faculty of Veterinary Medicine, University of Warmia and Mazury, Oczapowski Street 13, 10-719 Olsztyn, Poland 



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