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【本の紹介】エンド・オブ・ライフ 佐々涼子著
2021/01/03
治療方針、その他
あけましておめでとうございます。
今年は本の紹介からしてみたいと思います。

在宅での終末医療現場と、家族や友人、在宅医療携わる医師や看護師を追ったノンフィクションです。
紹介されるほとんどの患者は、死が間近にせまった方々ですが、
在宅で終末期を迎ようとする彼らが、文字通り命懸けで伝えてくれるのは、
どこでどう亡くなるかではなく、残された時間をどう「生きるか」です。

標準治療に載らない選択肢が無数にあるが、現代の多くの日本人は標準治療というコースを選択する。そこで打つ手がなくなったときに、帰っていく場所を持っていないし、死の準備教育もされていない。

なので、たとえ出口のない治療だとしてもほとんどの人は病院で入院しながら体と精神をボロボロにして、医者も患者も治療を突き進んでしまうことになります。

しかし、「病気はあくまでその人たちの一部にすぎない。」と終末期を生きる姿を見て著者は感じます。
200人以上を看取ってきた看護師は、自身がステージIVの癌に侵されることになり、それを機会に治療はほどほどに、自分の人生を生き直すことを決意します。すなわち、
ステージIVであることを忘れ、その日、その日をひたすら楽しみ、がんの言い分を効き、ただただ、真剣に、懸命に自己治癒を信じて遊び暮らした。
「かわいそうとか、大変だとかいう言葉で片付けてほしくない。そこには長さで測れない。命の質というものがあるはずなんです。、、、病の中にある幸福を照らし出せないかと思うんです。残された時間とはぜんぜん違うところでの価値があるんです。」

動物の医療でも、
辛い治療で今を犠牲にしても、少しの可能性でも生き延びていほしいというのが、我が子を思う親心ですが、
動物自身はどういう治療が幸せなのか、どういう生活を送りたいのか、
元気なうちから、病気になったからは特に思いをはせてあげてはいかがでしょうか。

「その人がその人らしく家にいる。そのために看護があり、医療がある。」
私達の漢方薬治療は、ただ病気を相手に戦い抜くのではなく、その子の癒す力、生きる力を助ける。そんな医療でありたいと思っています(^^)。


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