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- 多量ステロイドによる体への影響
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- 2020/03/06
- 治療方針、その他
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昨日の福ちゃんのブログの続きです。
多飲多尿、パディング、肝数値の上昇はもっともよく観察されますが、まだ表面的な副作用です。これらはステロイドを減薬したり、漢方薬を併用すればすぐに落ち着くからです。
通常の4倍ものステロイドを使って炎症を抑え込んでしまうと、多量のステロイドが免疫を壊してしまい、上記の副作用だけでなく、免疫の暴走に歯止めが利かなくなって、また急激に炎症が悪化してしまったり、ステロイドの副作用によって白血球が急激に増えたり、著しい貧血に陥り、それらで亡くなってしまうことも少なくありません。
多量ステロイドによる白血球の上昇2mg/kg以上のプレドニゾロンの投与が続くと、じわじわ白血球数が上昇します。ステロイド自体の作用もありますが、WBCが2万/μLを超えるとそれだけでは説明つかず、WBCが3~4万/μになると、いわば免疫細胞が暴走している状態と考えられます。これくらいの数値になると病院によっては白血病と診断されることも多いですし、放っておくとどんどん歯止めなく増えて本当に?白血病になってしまいます。これらも免疫性の炎症と同じく、暴走している免疫を止めるには、漢方薬で免疫を整えるしかありません。特に漢方薬治療でステロイドを減薬していくと、ステロイドの押さえつけが弱まるので、その分リバウンドで急激に上昇するケース事が多く、白血球になるかならないかの攻防が続くことになります。
多量ステロイドによる貧血ステロイドによる骨髄抑制、あるいは免疫の暴走による溶血性貧血、ステロイドの副作用による消化管粘膜出血、いろいろ原因があると思いますが、多量のステロイドが続くと高い確率でみられ、この貧血で亡くなってしまうことも多いです。もちろん鉄剤やビタミン剤では効きません。やはり免疫を整え、原因となるステロイドを減らすしかないのです。
福ちゃんも一時期はヘマトクリット値が20%(血液の濃さが普通の子の半分以下)まで下がってしまい、とても危ない状況でしたが、多量に漢方薬を飲んで免疫を整え、リバウンドが怒らないように慎重に、かつできるだけ早く急いでステロイドを減薬することで、無事間に合ってくれました。
ステロイドを通常量の2倍以上使う時点で、その治療は破綻しており、免疫を壊して炎症を止めるだけの治療では状況は悪くなるしかないので、早いうちに漢方薬治療を始めてもらいたいのは、こういう理由からです。「症状が落ち着いてから」では間に合わず、落ち着かないから事早く漢方薬で免疫を整える必要があります。